#020 シティホテル東松山

東松山は、比企丘陵の自然と都心への好アクセスが人気。中心地の東松山駅周辺に最初にできたビジネスホテルが「シティホテル東松山」です。
マネージャーの仲條正男さん(60)がホテルを開業した経緯は、当時25歳だった彼にとってまさに晴天の霹靂でした。

結婚して熊谷のレストランで料理人として勤務していた時、妻と疎遠だった彼女の実父が49歳で病気で急死。仲條さんにとっては結婚式でしか会ったことのなかった義父でしたが、経営していたタクシー会社などの事業を残して逝ってしまったのでした。

それらの事業を中心となって引き継いだのが義母。仲條さんは義母をサポートする流れで着工を控えたホテル計画を受け持つことになりました。

「この場所に建物を建てる計画があったことを知ったときは、てっきりマンションだと思って『管理人をやればいいのかな』ぐらいに考えていたのが、ホテルだと知ってびっくりしました」(仲條さん)

考えたこともなかったホテル経営。宣伝方法も何も知らないままの開業でした。宿泊客は、口コミで少しづつ増えていったものの、最初の10年間は従業員ゼロ。仲條さんは、義母や妻に支えられてなんとか切り盛りしてきました。

バブル崩壊、リーマンショック、コロナ過を乗り越えて今年35年目。
今は、宿泊客の7割が近隣の工業団地に勤務する人や建設関係の長期滞在者。土日帰宅して2か月、3か月滞在するという人もいます。
残りの3割が週末出張の営業マンや、スポーツの大会の応援家族など個人客です。

「コロナ過は大変でしたね。5人で10泊という予約が、ひとりが風邪をひいたとか咳が出るっていうだけで、その現場(出張)がゼロになったり、そういうキャンセルが何度もありました」(同)

宿泊34部屋は、エリア内の他のホテルに比べると規模は小さいものの、朝、昼、夜、3食出せる館内レストランのメニューが高評価。根強いファン、リピート客が多いのは、仲條さんの料理人の腕によるところもあるようです。

「たとえば、長期の人にも朝食の魚は毎日変えてますよ。鯖、鮭、鯵、赤魚、煮魚とかね。
食事がおいしいって言ってくれる人は確かに多いです。嬉しいですね」

今回の取材で「開業35周年」を思い出したという仲條さん。
節目の年を意識せずに年頭から始めたことがあります。
それは、自身が使う名刺のリニューアル。

<宿泊予約はお電話がオトク>と大きく書いた名刺を使い始めました。
「旅行エージェントは、宣伝になるけど手数料が高いんだよね。この名刺を使うようになってから少しづつ電話での予約が増えてきて嬉しいよ」(同)

【シティホテル東松山】
https://www.cityhotel-hmy.co.jp/