#029 フリー工業株式会社

道路、鉄道の敷設や宅地造成でできる人工斜面を法面(のりめん)と言います。たとえば山間を抜けて走る高速道路で見かけるセメント色の斜面のアレです。線路に沿って盛り土された斜面もそうです。

色々な形状があるのは、法面を補強する法面工事が地盤や目的によってさまざまだから。今回は、法面工事の技術開発に秀でた土木工事会社、フリー工業株式会社(台東区)で、法面工事について伺ってきました。

最初に、筆者が高速道路で見た記憶がある、セメント色に吹き付けられた斜面やコンクリート枠が格子状に施工された斜面について、同社技術部の内田達也さんに聞いてみました。

「まず、それらはコンクリートではなくてモルタルです。セメントと水と砂でできているモルタルは柔軟性や接着性に優れています。強度優先の構造物に使われるコンクリートはセメントと水と砂に加えて砂利が含まれているものです。指摘の法面は『モルタル吹付工』と『法枠工』です。『法枠工』にも複数ありますが弊社開発のフリーフレーム工法が多く普及しています。

法面が崩壊する要因を段階的に分けると、雨などで土砂が削られる『浸食』、表層の土砂が崩落する『表層崩壊』、深層地盤まで崩壊する『深層崩壊』、大規模な『地すべり』となります。

要因をどこまで想定するかで工法が変わります。『浸食』に対するものなら『モルタル吹付工』で、『表層崩壊』以上を想定するなら『法枠工』で、強度を高めるためにフレーム工法においてロックボルトを打つ、グランドアンカーを打つなどオプション的な施工が加わってくることになります」

車窓からモルタルの格子にボルトが打ってある斜面を見つけたら「ここは危険度が高かったんだな」と考えていいようです。

これら以外にも、草木が生えるようにする「緑化工」など数多くの工法はありますが、内田さんよれば、「法面抑制工」と「法面抑止工」に大別できるそうです。

法面を崩壊させる原因を取り除いて雨や流水から斜面を保護する「法面抑制工」と、物理的に土砂崩壊を抑える「法面抑止工」です。

法面は、山が多く平地が少ない、地震が多く雨も多い日本に突出して多い。そもそも世界の多くの国では日本のように山を切り開いて道路を通す事例は少ないのでしょう。

それでも、同社が1975年に開発し社名の由来にもなった「フリーフレーム工法」は、インドネシアや台湾、パキスタン、ブータン、ネパールなどでも採用され続けて、これまでに地球2周を越えた距離が施工されています。

法面の「法」は”さんずい”に”去る”、水が去ると書きます。
字や言葉の由来に根拠は無さそうですが、傑出した日本の法面工事技術を表現しているように見えませんか。

フリー工業株式会社
https://www.free-kogyo.co.jp/