浦和レッズのスタジアム入場者数はJリーグナンバーワン。ならばレッズファン、レッズサポーターが一番多く集まる“浦和の力(りき)”は、日本一サッカーファンが集まる居酒屋と言っていいと思います。
浦和駅西口から歩いて5分、飲食店が集まる十字路に建つ「酒蔵力 浦和本店」です。
試合日には200人前後のファン、サポーターが集まります。試合放映で沸き、試合後はスタジアム帰りの人も合流して盛り上がります。
タイトルがかかった試合の時間帯は、店周辺の道路にファン、サポーターで溢れかえるのも恒例。昨年12月にサウジアラビアで行われた国際試合の時は2,000人が集まりました。
今回話を伺った浦和本店の今井俊博店長は、「ビッグマッチの時は1週間ぐらい前から浦和警察と連絡をとっていますし、お客さんには『発煙筒はダメだよ』、『11時過ぎたら静かにね』などと伝えています」。以前はゴール裏で声を張り上げていたという今井店長。アルバイト時代含め30年近く力(りき)に勤務してきた大ベテランです。
海外のガイドブックにも紹介される
取材に伺ったのは月曜日の午後5時。7割方の席は埋まり、ヨーロッパからとおぼしき旅行グループが肉卸直営のお店自慢の串焼きを楽しんでいました。
今井店長は最近、“SPORTS BAR RIKI”の店名でイギリスのガイドブックが紹介していたのを見たそうで、「サッカーファン、レッズサポーターが集まる居酒屋」の情報は海外へも伝わっています。
しかし、試合日も含めて席の予約を受付けていません。インターネットが無かった時代からずっと、常連さんでも席をキープできないそうです。
「日本時間で23時試合開始という海外での浦和レッズの試合で、前日から徹夜で列ができたことがありました」(今井店長)
6坪からスタート
1969年に始まった力(りき)は、浦和駅西口のショッピングセンター・コルソ裏手、今もある浦和中郵便局の隣のわずか6坪のお店だったそうです。(下記写真)
Jリーグが始まったのは1993年。浦和レッズの試合が駒場スタジアムで行われていた90年代、店先の路上にビール瓶ケースをテーブルにして飲んでいるサポーターたちの姿は、浦和の人たちには広く知られた光景でした。
試合後のお店周りの様子(1995年)
浦和レッズJ2降格の1999年。テナント契約完了をもって今の浦和本店に移転。当時アルバイトスタッフだった今井店長は、「J2降格なのに6坪から30坪の店に移転して大丈夫かな?」と不安を感じたことを述懐してくれました。
元ゴール裏サポーターの今井店長。当然今はスタジアムに行く時間はありません。それでも楽しそうにレッズ愛を語ってくれます。
「毎日浦和レッズの話ができるのは嬉しいし、ゴール裏で飛び跳ねていた人が、年齢を重ねて家族連れで来てくれるようになったのを見るのも嬉しい。浦和レッズが好きになるきっかけを作ってあげられるのも嬉しいですよ。実は、誰とは言えませんが最近でも現役選手がひょっこり来てくれるんです」
【酒蔵 力】
https://www.ri-ki.co.jp
取材・文/福田 知孝